教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー
このブログで、聴覚障害生徒や国語の女性教師の記録を掲載してきた。
国語の女性教師の記録には、特に書かれていないが聴覚障害生徒も一緒に取り組んだ教育実践だった。
「耳が聞こえにくい」「耳が聞こえない」
と言うだけではすまされない
多くの場合、聴覚障害生徒に視点をおいた報告であったり、健聴生徒から聴覚障害生徒を見た視点であったりする。
だが、山城高校ではすべての生徒のなかに聴覚障害生徒がいるという考えであった。
また、聴覚障害生徒の記録にあるように聴覚障害だけではなく、肢体不自由、中枢神経系の問題、視覚障害などなど多くの障害もあった。
だから、単に「耳が聞こえにくい」「耳が聞こえない」と言うだけで事はすまされなかった。
また、「聴覚障害があるから特別配慮するのか」という一部の教師の痛烈な批判。
保護者や他の難聴教育、ろう学校の一部から「特別配慮」をしていないではないか、という強烈な批判に晒された。
「特別扱い」「特別配慮」
の意味合いがまったく異なった立場からの批判だった。
京都の学校と他府県からの訪問が続出したが
また、京都府下の小学校、中学校、高等学校から山城高校の聴覚障害教育を聞きつけて数え切れない相談もあった。
他府県からの訪問も多くあった。
特に印象深かったのは、O県の親の会のみなさんの訪問だった。
約束の時間がすぎても来られない。新幹線の遅れかな、と心配していると急いでやってこられたときには、もう1時間もすぎていた。
親の会のみなさんは、
「山城高校という門まで早く来ていたんです。でも、出てこられる人はみんな大人びていいて、どこかの工場に違いないと思い、あちらこちらを探して聞いたんですが、やはりここが山城高校だと聞いても信じられなかったんです。」
「制服を着ていないし、みんなそれぞれいろいろな服を着て高校生に見えなかったんです。おくれてすみません。」
と言う話だった。それから山城高校の取り組みを話合ったが、
「何もかも信じられない」
「そんなことも出来るのですね」
と親の会のみなさんが帰られていった。
「特別扱い」「特別配慮」と言うことの問題で悩んでいたとき、養護教諭が重要な提起をしてくれた。
以下その時の文章を掲載したい。
健康やて
そんなもん自分の体やし
一番よう知ってるわ
定時制高校に来て5年。
はじめてぶつかった問題が健康診断未受検者の多いことでした。
「おれら仕事場で健診してるしいらん」
「健康やて。そんなもん自分の体やし一番よう知ってるわ。しんどかったら病院行くわ。」
こんなことばを受けながら果たして健康診断が彼ら自身のものになっているのだろうか。
学校での健康診断とは何だろうか。
明らかに健康診断で病名を言われる現在4年生の生徒の1年時しか記入されていない健康診断票などを前にしながらさまざまな疑問や思いが私の中にわいてきました。
そんな疑問を持ちながら保健室に来るさまざまな生徒たちと接していました。
授業に参加できない生徒、毎日保健室の鏡を見てそして教室に行く生徒、彼らの生きる力となるものは何だろう。
何が必要なのだろうかと考えはじめ、ある事例にっいてのかかわりやとりくみというのではなく問題提起として述べたいと思います。
労働条件や労働衛生など問題にならないほどお粗末
この5年間をみても生徒のおかれている状況も変わってきています。
仕事も正式ではなくアルバイトやパートの者がかなりを占めているし、その中での労働条件や労働衛生など問題にならないほどお粗末なものです。
お腹がすいても時間通りに食事はとれない。
病気になっても休めない。
怪我をしてもがまんする。
そんな中で彼らは「抵抗」も反発のことばも出さず言われるまま「働いている」ように見えます。
学校では教師の言うことやることすべてに反発し「つっぱる」一面をみせる生徒も仕事場では「ぜったい服従」の傾向が増えてきています。
そして労働環境から生じた身体の不調や怪我を持って登校し保健室に来て
「仕事休まれへんさかい薬おくれ。」
「仕事の怪我やねんさかいしゃあないわ。」
と言ってきます。
学校ならなんとかしてくれると思っているようです。
自分で何とかするよりほかないと思いながらも
そうではすまされない「矛盾」を私たちに投げかけている
これはやはり自分のからだは自分で何とかするよりほかないと思いながらもそうではすまされない「矛盾」を私たちに投げかけているように思えます。
学校教育の中で健康教育の分野にたずさわっている私達としてまず生徒が自分のからだを知るそして健康を阻害しているものに目を向け決して自分の健康にとどまらずみんなが健康になるために知恵と力を出せるように考える機会をもっと増やす必要があるのではないかと考えました。
( つづく )
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