( 早期教育・インテグレーション・言語指導の問題と課題 ④ )
教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー
口話教育 1965年前後ろう学校がすすめていた口話教育(対応教育)の理屈と実際
Cued Speechの導入とその消滅
3才児学級
A,色分け口形図をCued Speechで読むことが出来る。
B,ローマ字を利用した子音部と母音部を分離したり統合したりした方法での発音指導が出来る。
C、Key Word、子供の名前などから自然に平仮名が読めるようになる。
D,必要以外、音声表出に際してCueを使わないようにする。
4才児学級
A、日本言語の各音韻の単音としての発音を殆ど完了する。
B,日本語のリズムの基調なる二音をなめらかに続けていく。
C,個人別の意識的な発音指導をすすめる。
5才児学級
A,文章の発音をくずれないように注意し、努力する。
Cued Speechとその考えの背景
※ Cued Speechについては、さまざまな評価がある。
1960年代頃、ソ連では,早期から口話法に指文字を併用する方法が採られていた。当時、ソ連と対立するアメリカでも、手指の動きで話すことの手がかりを与えるキュード・スピーチcued speechが提唱・実践されていた。
これらの傾向について、京都の聴覚障害児教育担当教師は、さまざまな文献を元に研究したが、ソ連とアメリカは、ともに教育手法をとりいれていて当時の時代背景から考えて教育交流がないと思われていたが、そうではないことが解ってきた。
それは、現在でも主張されている心理学における「行動主義 behaviorism」でもあった。
行動主義教育の導入の歪みと問題
そのため刺激に対する反応としての行動からろう児を見て、客観的に究明しようとする傾向であった。
このようなことを基に京都ろう学校では、Cued Speechとして「あかさたな……」の部分を記号化(これを身振りと言っていた)して言語習得の混乱を防ぎ、それが出来るようになると、Cued Speechとして「あかさたな……」の部分を記号化をと取り除いていくという方法である。
2歳、3歳、4歳、5歳児の言語指導を見ても、
3歳児で
「子音部と母音部を分離したり統合したりした方法」
「自然に平仮名が読めるようになる」
など他の児童よりも数年早く幼稚部の生徒に教えていこうとするのであるから、当然そこには、
「ろう児の潜在能力が耳の聴える子供たちに対して何ら劣るものではないという見解に積極的に支持する。」
としながら、耳の聴える子どもたちより「超潜在能力」をつくり上げようとする。
ここには、すでに無理と歪みが生じているが、「耳の聴える子供たちに対して何ら劣るものではない」という目的に傾注し続けるため「無理と歪みが生じている」ことを直視しない。
形態は違ってもこれらと同じ動きが近年増幅しているのではないだろうか。
( つづく )
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