教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー
定時制の先生はすごく勉強しはりますね
「この頃、定時制の先生はすごく勉強しはりますね。」
「なんで。」
「全日制の先生と比べて定時制の先生のほうがはるかに少ないのに、難しい本を次から次へと注文してきはるからです。
うちの本屋は、山城高校と近くの小さな大学と、まあ、小学校の先生の本の注文でなんとか、どうにか、こうにか本屋が成り立ってますけれど、定時制の先生の本の注文が飛び抜けて多くなってきたんです。」
電話一本で本を取り寄せてくれ、学校の教師の机の上に本を置いて給料日に集金に来てくれる本屋のおばさんの話だった。
また、定時制の先生の注文する本が専門的でややこしくて必死で電話を聞くけれど、
「先生も大変ですね。こんなに本を買って給料大丈夫なんですか。」
とまで心配してくれた。
I先生の話を聞いて、みんな参考書だけでなく「専門書」を次から次へと注文して基礎勉強はじめたことが分かった。
でも、専門書は非常に高い。
本屋さんが心配してくれるのも無理ないなぁ、と思うほどだった。
化学実験の爆発で 今のように髪の毛がなくなった
その頃、生徒の中である噂が広がりはじめた。
「化学の先生。ものすごく勉強熱心で、化学実験中に安全装置をきちんとしてなかったから、爆発して今のように髪の毛がなくなったんやって。」
「安全。先生の注意きちんと聞かんとあかん、言うてはったけどほんまやわ。髪の毛なくなったら困るしな」
などの話が生徒中の中で広まった。
そこで、ある先生が化学の先生に
「あんなウソで 生徒をたぶらかしたらあかんやん」
と言うと
「冗談冗談。このツルツル、ピカピカした頭のてっぺん見せて、先生のうそとホントウを見抜くことが大事や。
でも、安全な実験。安全は、いのちに関わる重大問題やつて説明するがな。」
と答えてきた。
残り少ない髪の毛を愛しく刈り上げてくれる
あとで、生徒が大笑いして、またまた学校中の生徒の中に話が広がりだした。
「あの先生、若い時からツルツル、ピカピカした頭やったんやって。」
「でも、今の奥さんは、人は外見じゃないわ、と言って結婚してくれたそうや。」
「今は、奥さんが残り少ない髪の毛を愛しく刈り上げてくれるので、うれしいし、散髪代も入らないし一挙両得やって言ってはったけど、一挙両得って何のこと」
と国語の先生に質問が来て職員室のみんなが知ってしまうと言う事件も起きた。
この歌には 矛盾がある おかしいとこがある 何か
これに懲りず高知出身の化学の先生は、
「土佐の高知のはりまや橋で 坊さんかんざし買うを見た よさこい よさこい」
と化学の授業で歌い出した。
生徒は、これ化学の授業やのに、なんでそんな歌を歌っているのかとわいわいがやがやなった時、
「この歌には 矛盾がある。」「おかしいとこがある。何か。」
と言う問題のプリントが配られた。
生徒はびっくり。
「おかしいって、先生がおかしなことを歌うから」
などの答えを書く生徒がいたが、ほとんどが頭を抱えてしまったらしい。
化学の先生は、矛盾を気づかせる。そこから化学の芽が育つのだ、と言っていたけれど教職員の中では「また、高知自慢がはじまっただけやないか」などの意見が多かった。
ともかく、教師は深く学習して、それぞれの得意分野で英語のI先生のような「小さなテレビ番組表」を考え初め、大胆な教育実践をはじめた。
山城高校定時制生徒会文芸部「夜学生の詩」改題「まど」21号より
父へ
お父さん
生まれて初めて一緒に暮らしました
とてもうれしいはずなのに
少しもうれしくありません
お父さん
私にはあなたの考えが
少しもわかりません
高くそびえ立つ山にききました
茜色の夕日にもたずねてみました
けれどみんななにも
教えてくれませんでした
お父さん
わかりません
なにもかもわかりません
17才の万月が
お父さんと私の間に厚い壁を作ったのですね
お父さん
教えてください
父性愛とは--
Esperanza
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