Once upon a time 1969
私たちは、このろうあ者の事故と事件や働く障害者の問題を障害者集会で何度も訴えた。
でも、残念なことに障害児研究をしている大学の先生や学習会に参加している人々から「働けるだけましやで」「仕事にも就けない障害者のほうがもっと深刻や」などなどと言われ、落ちこむことが多くあった。
「ちがうのや 障害者みんなに共通することや。働いている人にも」
と言い続けました。
施設に子供を預けている一保護者からの訴え
障害者の働く問題が、授産施設でも深刻な問題としてあることが、1975年12月の京都府議会本会議で杉本源一議員によって採り上げられた。
少し長くなるが、その時の京都府議会議事録抜粋して掲載します。
なお、議会議事録には施設の名詞などは残されていますが、一部をイニシャルで、読みやすくするため見出しを入れるのでご承知ください。
私は城陽市にある社会福祉法人A学園に起きた事件を中心に、京都府の社会福祉対策について質問をします。
去る11月10日、この施設に子供を預けている一保護者から、私に次のような訴えがありました。
シンナー中毒はないと言うが シンナーの臭いが強く、紫色をしたヘドロが
「11月9日保護者会があって、そのときこの学園に預けている娘が作業しているところを他の保護者とともに見せてもらった。
作業場にはクリーニングの立派な機械が据えられていたが、シンナーの強い臭いが鼻をつき、その周囲にはシンナーと油で汚れたウエスが数十本のドラムかんに詰め込まれ、倉庫にはシンナーの1斗かんがたくさん置いてあった。
精神薄弱者の園生をこのようなところで作業させるのは問題がある。
京都府は一体どのような指導をしているのか、調査して善処してほしい」
こういうものでありました。
11月12日、T園長に会い実情を聞くとともに、園長の案内で作業場を見せてもらいました。
保護者の強い訴えにあったとおりで、シンナーの臭いが強く、紫色をしたヘドロがごてごてと地面に捨てられたままになっておりました。
園長の説明によりますと
「この施設は授産施設として京都府の認可を得て設立されたもので、洗たく作業については株式会社MとA学園が契約をし、今年の2月から運転を始めたもので、毎月必要な経費として30万円をMから学園へ納めてもらい、園生には1カ月1人3000円を工賃として支払ってきた。
5~6月頃にてんかん発作を起こす園生が出たので、ユニチカの専門家に公害の調査をしてもらったが、人体には影響はないとのことだった」
と話していました。
12人に肝臓機能障害など身体に異常が発生した
作業は、油で汚れたウエスをクリーニングするもので、そのときシンナーが使われております。
重大なことは、この作業に従事していた園生45名のうち12名にてんかんに似た症状や肝臓機能障害など、身体に異常をきたしたものが発生したということであります。
民労部長、あなたはこのような事実を知っていたのですか。
私はこれは重大な事件だと思います。
驚いたことに、作業能率を低下させないためといって、学園の近所にあるB病院の精神科の軽度の患者を園生と一緒に作業させていた事実であります。
企業ペースで障害者を働かせるのは 人道上許せない行為
株式会社Mの従業員とB病院の患者とA学園の園生が入りまじって作業するというこのような作業形態は、不適当であります。
収容されている園生が精神薄弱者であることにつけ入って企業ペースの作業が行われていたとしたら、これは人道上許せない行為であります。
一体このような作業が適切なものかどうか、計画の当初から慎重に考えられるべき問題でありますし、その危険性は当然予測されたことであります。
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