Once upon a time 1969
ろう学校をでたら、まじめに一生懸命働きなさい。聞こえない人を働かせてくれる会社はめったにない。
それも 高い給料がくれるなんて。
A鉄工所みたいなところは、めったにない会社。
よかったね……
感覚だけで考えてはいけない とみんなが集まった集団の知恵
そう教えられ、またそう信じて、人生を生きてきたA鉄工所のろうあ者がぶちあたった困難。
ろうあ者みんなの問題だ、と感覚的に仲間は捉えられてきた。
だが、感覚だけではダメなことが次々出てくる。
解らないことばかり。
でも、ろうあ休会の仲間が集まってくれて、知恵を出してくれる。
お互い学び合える。
あ、そうなんか。へーっそうだったのか、と心配が減っていく喜び。
ろうあ協会の地味だが、力強い取り組みは、今でも感嘆する。
引き裂かれる哀しみは ろうあ者みんなが経験していた
でも、Eさんの第二組合に行く話。Eさんの気持ち。
Eさんの行動。
労働をする仲間が引き裂かれることとろうあや同士が引き裂かれることは、同じだ、とろうあ協会のみんなは言った。
みんなもEさんと同じ思いを何度もしてきた。
「でも、ろうあ者同士は団結しような」と言うろうあ協会の話になると、Eさんは話している顔をしているのに手は動いていなかった。
われを忘れてA鉄工所の情報をDさんに知らせる仲間
結局、Dさんひとりがろうあ者として第1組合に残った。
Dさんは、組合の指示通り、何とかがんばろう、とろうあ者の友人の居る木工所にアルバイトに行くことになった。
その間、ろうあ協会の仲間は、早朝にA鉄工所に行く。
自分の仕事が終わると駆けて行きA鉄工所の様子や工場周辺を歩き回って、Dさん宅に毎日報告に行った。
Dさんは、そんな仲間の親切心に感謝のしようがなかったが、喜んでいられない生活状況が日々膨らみあがるだけだった。
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