Once upon a time 1969
交渉でろうあ者の青年が発言した買い物のはなしは、すべてがそうではなかった。
現在では、食材を買うのにスパーに行けばすべての値段表示がされている。
そのため買ったものはすべてレジに表示され、レシートが渡される。
青年が発言した当時は、ほとんどが小売りだった。
野菜、魚、肉、果物などなどすべてが小売店舗で買うため、店の人とのコミニケーションで困るという発言である。
店の人と話もすることもなく
コミニケーションは不要になったが 失われた人間のふれ合い
店の人は、買いに来た人が聞こえない人だと知ったら、身振り手振りではなしもしてくれたし、書いてもくれたし、煮物焼き物などの料理方法も、「こうすりゃおいしい」と教えてくれたりした。
「おいしい」「500円」などの簡単な手話も覚えて、次第に店や商店街に溶け込んでいったろうあ者も少なくない。
また肉をさばく、魚をさばくなどの仕事をしていたろうあ者もいた。その店に行けば、ろうあ者同士などの場合は、特に目方を多めに入れてくれたりしていた。
今日では、店の人と話もすることもなくコミニケーションは不要だが、それは逆に人間のふれ合いをなくしてしまっている。
障害者福祉の対策は、障害者が産まない
障害者が産まれないようにするのが
基本と府幹部
京都府の幹部との交渉は、まだまだ続きがある。
交渉の中で府の幹部が、
「京都府の総合的な対策を確立するため、京都府社会福祉対策協議会なる知事の諮問機関が作られている。」
その事務局長が、
「障害者福祉の対策は、障害者が産まれないよう、産まれないようにするのが基本である」
と主張。
そのため会場は騒然となった。
机をたたくろうあ者はや泣き出すろうあ者。
苦しかった過去を振り返って俯くろうあ者など終始が着かなくなってしまった。
結婚に大反対されて、それでも結婚して生まれた子どもがこの子だ
この子を産んだのが間違いというのか
ろうあ者は大声を出して手話で発言したが、声が「鮮明」でないため手話通訳者はろうあ者の声のトーンに合わせて大声を出しながら手話通訳した。
「私たちに対する、あやまった偏見を助長するものだ。」
「障害者は結婚するなというのか。」
「私は、結婚に大反対されて、それでも結婚して生まれた子どもがこの子だ。この子を産んだのが間違いというのか。」
「この子が産まれてうれしいし、喜んでいる。そうじゃないというの。」
「障害のある人がナゼ産まれるのかという社会的背景をまったくぬきにしている。」
「障害児者が産まれなかったら、産まれないようにしたら社会福祉は不必要になると言うことなのか。」
「障害者が生きる喜びを持てるようにして、そのことをもっと社会に知らしていかなければならないのではないか。」
「そういうことを京都府がしてこそ、障害者と多くの府民が手をつなげる。それを分断するようなことを京都府がするのか。」
「知事は、ろうあ者のみなさんが本当に生きがいのある社会にするようこれはお約束すると言ったではないか。」
「あなたたちに言うようなことで、生きがいなんてどうして出るの。」
「生きがいと、産むな、と言うことはまったく対立する。」
抗議の嵐が交渉の会場に吹き荒れた。
京都府幹部に駆け寄り詰め寄るろうあ者の怒り
京都府の幹部は、青ざめて俯いたまま。
ろうあ者は、次から次へと手を挙げ発言し、発言はとどまることはなかった。
騒然とした状況のママで交渉は時間切れとなったが、引き上げる京都府の幹部にろうあ者は詰め寄って、幹部は「帰らせてください。」ばかりを言った。
ろうあ者の怒りは収まることはなかったが、会場の後片付けは冷静にいつものように京都府職員と一緒に行った。
ろうあ協会役員は、ことの重大性を感じ、その後ろうあセンターに集まり深夜を越す論議が続き、一つの行動をすることで一致した。
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