2011年9月10日土曜日

人事委員会の立入調査を知らしてほしい、の声に校長は激怒して 職務を侵害する、とまで言う


山城貞治(みなさんへの通信80)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その60)


労働監督の責任がある人事委員会が
    府教委・学校の虚偽報告を認め続けていた

「あのう。事業場調査台帳には、衛生委員会設置や開催や衛生管理者が空欄になっているのですが、人事委員会立入調査の資料には、衛生委員会が月一開かれ、衛生管理者が置かれているとなっていますが。」
「異動されたから空欄になっている。」
「でも、2年後の事業場調査台帳には、同じ衛生管理者の名前が書かれていますが。」
「……」
「あのう。人事委員会立入調査はこの10年間に2回行われた府立学校もあるのですね。」
「そうです。一定の年度ごとに回るので、今回の開示では、同じ学校の資料も出しています。」
「そうですか。でもこの高校への人事委員会の指摘事項とそれを受けて高校が出した改善などの措置の文章は、同じものをコピーされたのでは。全く同じ指摘事項と全く同じ改善などの措置の文章ですが。」
「どれですか。ああ、こちらのコピーの間違いではありません。日付を見てください。」
「日付は違いますが、人事委員会が労働基準法と労働安全衛生法の条文をあげて指摘・改善され、学校から指摘・改善することが書かれています。でも、数年後に人事委員会が同じ文章で同じように指摘して、学校は同じ文章で同じように改善すると全く同じですよね。違うのは日付だけですね。」
 人事委員会は、黙り込んでしまった。
「おいそがしいようなので、お仕事に戻られたら。私は見て気づいたことがあれば、連絡しますから」
「いやいや、残らなければなりませんので」
 府人事委員会は、ここまで書類を読みこなされるとは思わなかったらしく私が何者かと訝しがっているようだった。
 ともかく、府人事委員会は、アリバイだけでなんの「労働監督」もしていないばかりか、虚偽報告を10年以上も認めてきたことになる責任は重大だった。
 

労働基準法や労働安全衛生法の処罰規定は全く無視

 書き出したら山のようにある虚偽報告。
 教職員がこのようなことをすれば処分を受けるだろう。
 しかし、最も責任の重い府人事委員会や管理職が虚偽報告を長く続けてきたことに対して、大問題を感じただけでなく、労働基準法や労働安全衛生法の処罰規定が全く無視、放置されていることに何とも言えない気持ちだった。

和歌山県のホテルで料理長の過労死で国家賠償請求訴訟を
  すすめた料理長の奥さんと連帯するためにも

 和歌山県のホテルで料理長の過労死で、奥さんが、新宮労働基準監督署に申請に行った時、そこで担当者のNから浴びせかけられた言葉。
「労災申請は、会社を通じてしかできません。」
「仮に会社を通じて申請してもらってもダメです。まず労災は下りません。自宅で行っていた献立の作成は、業務ではありません。後払いや手当など、会社から基本給以外に少しでもお金をもらっていたら、時間外手当をもらっていたことになります。」
「奥さんが知らないだけで、朝、ご主人は奥さんに会社に行くと嘘をついて、どこか別のところへ(小指を立てながら)行っていたのかもしれませんよ。」
「奥さん、女だてらによく一人で来たな。あんたらみたいな人が来ると僕らの仕事が余計忙しくなってくるんや。もうこんといて。」
 この日から奥さんがショックのあまり、食欲不振、嘔吐、不眠、極端な人間不信、対人恐怖症。労働基準監督署に行くと、震えが止まらず、椅子から崩れ落ち、声も出なかった。そして、「うつ病」と診断され、現在も通院治療を受けた。
 奥さんは、一時は労災申請自体取り下げようとまで思い詰めたが、大阪過労死家族の会に出会い、互いに励まし合う中で、労災申請を最後まで貫くとともに、会社に対する損害賠償請求を行なうことを決意した。
 また、会社を被告として損害賠償請求訴訟を和歌山地裁に提訴し、続いて去労働基準監督署の担当者Nと国を被告とする国家賠償請求訴訟も提訴した。
 この涙ながらの訴えを聞いた時、涙とともに、情報開示だけに済ましたことは、甘かったなあ、と深く反省した。
 いのちと健康に関わる重大事項を虚偽で固めていた府人事委員会や府教委や管理職を訴えてこそ、本当の料理長の奥さんとの連帯だ、と思ったからである。


人事委員会の立入調査に参加を、と言うと校長激怒

 ともかく、情報開示されたものをCD-ROMに焼き付け全校に配布した。
 府民なら誰でも入手できる書類が、直接関わりのある教職員に知らされていなかったからである。ところが思わぬことが生じた。
 ある分会で校長交渉をして、人事に関する申し入れも済み、最後に「人事委員会の立入調査」についての緊急申し入れをした。
 申し入れをしたとたん、校長の態度がなぜか一変。
 申し入れの第一は、「人事委員会の立入調査に労働者側代表(分会代表)を同席させてほしい。」というもの。(以下分会ニュースの要旨を掲載)
 これに対して校長は、「校長の職務を侵害するつもりか。」(校長発言については正確ではありません。趣旨のみをお伝えします。)という返答。
 ついには「気分がおさまらん。」とまで言って怒り出す始末です。
 これまで人事委員会への報告では、「衛生委員会」があることになっているにもかかわらず、

「衛生委員会がない。できたらその時に考えるが、今は、校長の職務として行うものだ。そこに口出しするな。管理職が対応すればいいんだ。」
の一点張りだった。
 そのため「では、最低限、事前調査の報告書はぜひ見せてほしい。」とせまりまった。
 校長は、「校長の職務で作成した書類はいろいろある。それらをいちいち見せろというのか。」と言う。


労働条件がきちんと報告されているかどうか
   確認したいだけだったが

 「私たちは、他の書類を見せてほしいといっているのではない。事前調査に、私達の労働条件がきちんと報告されているかどうか確認したいだけだ。
 人事委員会に情報公開制度を利用して資料請求できるが、人事委員会としても、校長から書類を見せてもらえばいいではないかと言っている。
 本校でも、すでに衛生委員会があると報告されたり、組合との協議もなしに、職場の誰も知らない勤務時間の割り振りが報告されているではないか。」
と話をした。
 が、「情報公開でもなんでもすればいい。私の知ったことではない。」という校長の返答。


教師の時間外は無視して報告

 聞くところによると、今回の事前調査における「時間外勤務」の欄は、事務室のみのデータが記載されているとのこと。
 他の教職員については、「測定不能だから書けない」のひとことで片づけられていた。
 今まで、一度の調査、アンケートもなく、「持ち帰り仕事」等も報告されていないのは明らか。
 私たちは、本校の管理職の責任だけを追及しようとは思っていない。頑張ってくれていると思ってる。
 一緒になって「労働条件」を考えたい。
 他校では、教職員の全く知らないことが人事委員会に報告されているそう。

 事実に基づかない公的報告は「うそ」の報告になるのではないでしょう。



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