2011年9月16日金曜日

先生は私たちのことを思ってがんばってくれた。よし、私も大きくなったら、と過労死する教育をするの


山城貞治(みなさんへの通信83)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その63)


それでいいのかな、と思ったときにはもう遅い

 府高の腰痛.頸肩腕障害(頸腕)の裁判で言うと、障害児学校などでは生徒の発達保障をするために、延々とすごい姿勢をされているわけです。
 それで腰痛になったり頸腕になったりする。垰田和史先に言わせると
「もう話にもならない」
というような無理な姿勢を強いられて、延々と授業されるわけです。
 それは子どものために必要だからと、やってきたわけです。
 しかし、そのために教職員は健康を破壊されたわけです。
 でも、それでいいのかな、と思ったときにはもう遅かったのかも知れないのです。
 そこのところの問題で、子どもにとって必要なことをやるということと教職員の健康ということについての中身をもう一度論議しなくてはならないのかな、と思います。




あの先生は私たちのことを思ってがんばってくれて
身体を傷めた。よし、私も大きくなったら

 「あの先生は、私たちのことを思ってがんばってくれて身体を傷めた。よし、私も大きくなったら、そういう労働者になるんだ」
と思って、仕事をやりすぎて過労死したらどうしますか。極論ですが。
 私が言いたいのは、ようするに子どもは、先生のいろいろな授業の内容や発達保障だけではなくて、人間の生きざまも含めて見ながら成長するのです。
 私自身がそうでした。
 中学校の頃の状況と今の状況を比べたときに、やはり先生の生き方でこうなったんだ、という面がないわけではない。


先生の健康問題は、日本の将来にかかわってくる

 そういう意味でいえば、本当に学校の先生の健康問題というのは、どういう視点で、どういう形でそういうものを「体現」するのかということが日本の将来にかかわってくる、と私は思っているのです。

子どもの状況を受けとめきれる余裕が教職員にあるのか

 子どもの状況を受けとめきれる余裕が、今のみなさんにあるか、ということです。
 子どものためにがんばるといいながら、子どもの状況を受けとめきれる余裕がなければ、どうなるか。


生徒と接するときには、健康でベストコンディションで

 子どもや生徒と接するときには、健康でベストコンディションで臨むということが、子どものためには不可欠なのではないかと思うのです。
 学校教育の中で、人間が人間として尊重されるということを教科を教える中で先生が「体現」していく。


自分のいのちと健康を大切に 仲間のいのちと健康を大切に

 人間が人間として尊重される。
仲間を尊重して大切にすると同時に、自分も大切にする。
自分のいのちと健康を大切にする。
仲間のいのちと健康を大切にする。
 そういう思い、考え方、姿勢、というものが必要なのではないかと思います。

WHOの憲章には、そういうことが書いてあります。
 「健康とは、単に病気や障害がないというだけではなく、身体的、精神的、社会的に健全な状態にあることをいう。最高の健康状態を享受することは、人種、宗教、政治理念、経済状態の区別なく、あらゆる人間の基本的権利である」。
 健康というものを考えるときには、この辺のところが大切ではないかと思います。


教職員の考え方や姿勢が悪い
 個人の責任と言っているのではない

 今のような話だけをすると、一人ひとりの教職員の考え方や姿勢が悪いからいけないのだ、という話になりかねません。
 これは府教委などが言う話になってきます。
 しかし、私はそうは思わない。
 健康に対する基本的な視点や考え方というものは、みんなが身につけていく、考えていく、議論をしていくことが大切だということを強調したいわけです。
 問題は、個人の責任や意識の問題だ、とは私は思っていません。
 いまのWHOの憲章でも、
「国は適切な保健及び社会手段を充足させることによって、その国の人々の健康を保持する責任を有している」
ときちんと書いてあります。
 だから、いま申し上げたような問題提起を、みなさんには議論していただきたいと思うのです。
 


 それを個人の責任や意識の問題にすりかえてしまったらいけないと思います。
 


  そうではないのです。
 そこを、大切にしてほしいなあと思います。
 そのことは、何のために労働安全衛生法ができたのか、ということとも関わりがあるのです。



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