Once upon a time 1969
(解説) 府会議員の質問を受け、知事は答弁する。眼前には手話通訳者が。傍聴席には、ろうあ者が多数詰めかけた府議会の傍聴席。
知事がどのように答えるのか。
「ろうあ者のセンターをつくる」というのか。
または、「一人のろうあ者に一人の手話通訳の制度をつくるというのか。」という熱い目線が注がれたが、知事の最後の答弁と約束は思いも寄らないものだった。
だが、ろうあ者には、漠然とした意味は伝わり、それがスローガンされ、京都府との交渉では絶えず当局に迫る言葉として使われた。
この真意は、最近、京都府議会議事録集を通読して理解できた。が、そこには、実に深い、深い意味が籠められていることを知った。
そういう点で、この最後の知事の答弁は、手話通訳者とし最も「難しい手話通訳」であった、と考えられる。
1966(昭和41)年12月21日京都府議会本会議(その3)
府がメッセージを出して、補助金を出す以外に何もしていないとは、あんまりひどいと思う
蜷川虎三京都府知事答弁
ただ今の灘井議員の御質問について一般的な問題について私がお答えして、専門的なものは各関係者に答弁さして頂くようにお願いしたいと思います。
まず府がメッセージを出して、補助金を出す以外に何もしていないということは、あんまりひどいと思うのです。
少しはやってるつもりなんでありまして、メッセージと補助金だけで民生事業をしている訳ではありませんが、これは灘井さんのはげしい云い方で、少し吃りになってもらったらいいかと思うんであります。
エーはげしい言い方だと思います。
現実自体をよく科学的に認識して
適切な措置を取るという事が行政担当者の任務
しかし、我々行政といたしましては、行政目的というものがある訳です。
それから行政の制度、しくみってものがある訳です。
その中におきまして、私共はです、現実自体をよく科学的'に認識して適切な措置を取るという事が、行政担当者の任務であります。
そういう点で今、灘井議員に教えられる所は非常に多いんです。
上っつらなやり方をしていた事については
心から反省し、今後直してまいりたい
我々が現実自体を充分に認識把握しないで、いく分その上っつらなやり方をしていたという事については、心から反省し、今後直してまいりたいと存じます。
しかしながら、我々の部課長が全然民主府政を考えないで、別にやっていた、あるいはそう考えたと云う訳じゃなしに、私が十六年間民主府政を守り得たことは、これは、やはり部課長はじめ四千六百の職員の協力のたまものであります。
その点ではひとつ御了承を頂きたいと思います。
ただ、人によっていろいろ考えも違いますけれどもまあ、思想は強制しないつもりであります。
いろいろの考えはございましょうけれども、そういう点はひとつ御了承を頂き、一生けん命働いているのです、職員すべてについてそれは必ずしも知事部局ばかりでなく医科大学も、府立大学も教育委員会もまたその他の労働委員会もすべてそういう点については、もし灘井議員の御指摘のように不充分な点があれば、私の指導指揮監督が不充分なんです。
今、いろいろお話をうかがってますと、私も反省する所が多かった訳です。
仮に市町村の役目だといっても
充分音頭をとってこれを進め切れなかった事は
これは府の責任でもあると存じますので
これを機会に充分ろうあ対策をやってまいりたい
その点で御指摘頂いた事については、充分今後留意し努力してまいりたいと存じますゆで、そういう意味におきまして、特にこのろうあ対策の問題でもです、行政的には一つの民生的な問題として、もちろん教育の問題もございますが、だいたいこの直接住民に接触される市町村がなさるべきであって、特に京都市のような大都市におきましては、京都市が、主力になるべきでありますけれども、われわれがよく、今、灘井議員が御指摘になったような事を認識しないで、府がその民生対策としてその指導が不充分であったという事は反省します。
もう一つ、府が、仮りに市町村の役目だといっても、充分音頭をとってこれを進め切れなかった事は、これは府の責任でもあると存じますので、これを機会に充分ろうあ対策をやってまいりたいと思います。.
ろう学校の教育の充実
お互いのはげまし合い
お互いがお互いの手話通訳の持てるような施設を
特に問題にするのは言語の不自由な点を解決するんでありますが、これはまあ、私も年に一回ぐらいはろう学校へ行きまして、子ども達と会ったり話したりしてまいりますけど、まあひとつは幼い子どもたちから高等学校までをできるだけろう学校で教育したい。
それからやはり灘井議員の御指摘のように施設を作ってです、お互いのはげまし合い、お互いがお互いの通訳の持てるような施設にしていくという事は大変重要な事である。
唇さえ見てたらわかるんだろうというようなですね
甘っちょろい考えでいた事は誠に申し訳ない
通訳などについて、ほとんど私共が無関心で、唇さえ見てたらわかるんだろうというようなですね、甘っちょろい考えでいた事は誠に申し訳ない事です。
なんとか通訳の養成もしてまいって、学校の充実強化、施設並びにそうしたです通訳者の養成というようなものをこれから充分に心がけてやってまいります。
皆さんも充分御指導を、不充分であれば御指摘願いたいと思います。これが一点。
ろうあ者の方々のために
本当に生きがいのある社会にするように努力してまいりたいと
これはお約束いたします
もう一つは、やはり身体に障害がある方でございますので、さき程も灘井議員の御指摘のように、生活の相談、あるいは、枝能の訓練、いろいろそういうような点があると思います。
私共の方も身体障害者福祉センターというような不充分ではございますけれども、あれを中心にしてなお拡張してまいりたいと、結局現施設を利用するという事と、どういう新しい施設を作っていく事がいいかという事は、灘井議員はじめ議員の皆様方と研究しましてですね、ろうあ者の方々のために、本当に生きがいのある社会にするように努力してまいりたいと、これはお約束いたします。
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