2013年1月20日日曜日

本当に生徒のニーズを受けとめた教育とは何か、が試された


教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー

  手話テキストの順序にあてはめると逆な主張になる

  「学校に行かなければならない。」

  という課題に戸惑ったのは、健聴生徒だった。
「ならない。」は、否定ではなく強調。それをそのまま手話テキストの順序にあてはめると、

「学校」「行く」「ない」

となって、学校に行くことはない、学校に行く必要はない、ということになる、という戸惑いである。

  聴覚障害生徒の順序性の拘りの問題と原因

ところが聴覚障害生徒は、「学校」「行く」「ない」は、手話テキスト通りだからこれが絶対正しいのだ、と言いはり、再び「順序性」に拘りはじめた。

健聴生徒は、それでは相手に違ったことを伝えてしまうことになる、と話したが聴覚障害生徒は決して譲らなかった。
「いいか」「悪いか」

 それだけで教えられてきた聴覚障害生徒にとっては、「学校に行かなければならない。」という意味内容を把握するよりも、単語、単語の繋がりで考える傾向は非常に強くあった。

このことは、聴覚障害生徒の責任と言うより言語獲得や文字獲得期における教育指導が大きく関係しているという深刻な問題があった。
言語や文字の獲得の方法論が先行して聴覚障害生徒の理解や言語や文字の持つ意味、内容が教えられてこなかったことが表面化してきたのである。

全面否定か、全面肯定、この中間はないと言う傾向は、あえて言うならろう学校に手話の導入を主張し続ける人々の思春期・青年期の発達と大きな関わりがあるように思う。
なぜなら、人間のコミニケーションは、ある一つの手段だけで成立していないからである。

  教育とは、子どもの「本質」とその力を信頼する日常の単純な営みという単純「論法」が
      子どもたちをのちのち苦しめる

  関西のある一部の大学教授は、次のような事を主張している。

発達障害の子どもの本質、「まじめ、一生懸命、がんばり、やさしい」を現実のものとすることそのために何よりも必要なことは、子どもの「安心と自尊心」教育指導とは、個々ばらばらのスキルを訓練し教え込むことではなく子どもの歩みに伴走しつつ、見通し(展望)を示すことにあります。

展望は、子ども自身の発達する力の中にあります。そのためには子どもの「しんどさ」の深さを想い、「教えない」覚悟と指導技術が求められます。
自らの困難に、自覚して意識的に立ち向かう子どもたちは尊敬に値いすると実感します。教育とは、子どもの「本質」とその力を信頼する日常の単純な営みのことです。
と言いつつ、この子どもたちには特別なスキルが必要と主張して、講座を開いている。

そればかりか、教育とは「子どもの歩みに伴走しつつ、見通し(展望)を示す」と書き、子どもと「つきそって」「展望を示す」として、自然発生的に子どもが発達するかのように描いている。
そう言いつつ、「展望」は、「子ども自身の発達する力の中」にあり、子どもの「しんどさ」の深さを想い、「教えない」覚悟と指導技術が求められ、るとしている。
しんどさの深さを想い、教えない覚悟と指導技術が必要ということは、指導も技術も関係なく、自らの困難に自覚して意識的に立ち向かう子ともたちを「尊敬」するというまったく非論理的主張をなんの恥ずかしげもなく堂々と主張しているのである。

  教えない覚悟と指導技術をすすめればどうなるのだろうか

 このような単純な考えならば、教育を実際にすすめる教師はなんの苦労もいらないだろう。
  聴覚障害生徒は、「学校」「行く」「ない」は、手話テキスト通りだからこれが絶対正しいのだ、と言う聴覚障害生徒に「伴走」して、子どもの「しんどさ」の深さを想い、「教えない」覚悟と指導技術をすすめればどうなるのだろうか。
「うーむーあなたを尊敬する」
と言えばいいのだろうか。
 生徒の持っている内的力を引き出しそれをさらに高めていくための教育

形態は異なっても聴覚障害生徒が早期教育から山城高校に入学してくるまでの教育過程を考えるならば、それまでうけてきた教育の問題点と 関西のある一部の大学教授の主張等は、ある意味共通している。

生徒の持っている内的力を引き出しそれをさらに高めていくための教育は存在しないからである。

  「学校に行かなければならない。」
という課題は、それらを乗り越えた教育としての指導であり、単に手話を教えるという問題ではないのである。
生徒たちのニーズといいながら、あまりにもお粗末な「教育」なるものが横行している今日、あらためて健聴生徒にも聴覚障害生徒にも提起した課題が大切であったと考えている。
 


 

http://blog.livedoor.jp/kasa0774/archives/22458222.html

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