2013年2月28日木曜日

よきコミュニケーションはキャッチボールのようなもの と校長



教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
 ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー

 
本校聴覚障害教育の十数年間の実践は、よきコミュニケーションをどうつくりあげてきたか、どうつくりあげるべきか、という一側面をもっているということです。
 
         仲間疎外とコミニケーション

 人間が生存するため、空気・水・食物は不可欠なものでありますが、もう一っコミュニケーションが必要だといわれます。

 人間はコミュニケーションが、はかれなくなると、仲間から疎外された感じを抱きますし、また周囲の人も離れてゆきます。
 そのため激しい孤独感に襲われたりします。

 よきコミュニケーションはキャッチボールのようなもの、投げ手と受け手が互いに交代する、相手の気持ちをおしはかりつつ投げあう、そこから啓発され、自己の存在が確認され、向上してまいります。
 
 十数年の高校生活では、言語活動面での衰弱が顕著

 このコミュニケーションの大半はことばによって行われます。

 そして、そのことばの発達は周囲の人たちとコミュニケーションするこどができるかどうかによって、かなり左右されます。

 このことは、人の出入りの少ない高層住宅で、昼間ひとりひとりの生活をするとか、過保護の家庭で、子ども自身がことばを使わなくて間に合う生活では、ことばの獲得がさまたげられてしまう、ということでよくわかります。

 たえず外界と遮断されがちで、もっている能力を触発する刺戟を十分うけ入れられない聴障生にとって、最大の問題はコミュニケーションであります。

 しかし、コミュニケーションの大切さは健聴生にとっても同様であります。

 この十数年の高校生活では、言語活動面での衰弱が顕著でありました。

 文芸・新聞、弁論・放送劇・演劇・社研・読書・詩歌・部落研・地理歴史など、ことばを駆使するクラブ活動は見る影もありません。
 この衰えはクラブ活動だけでなく、高校生活全般を不健全にしているといってよいと思います。

   受動的姿勢と積極的姿勢とコミニケーション

 聴覚障害教育をさらにすすめるため、コミュニケーションを活性化するポイントを研究しなければなりません。
 
 聴覚保障・学習保障・集団保障の三目標で始まった本校の聴障教育は、その後、進路保障を新しくかかげ四目標となりました。

 聴障生は、ともすれば性格自己中心的、自分の世界にとじこもる傾向があり、集団行動が苦手、他の聴障生とも交際しない、健聴生の友人もっくれません。

 一方、健聴生も同じ傾向があって受動的姿勢であります。

 そのため、聴障生が健聴生の中へ埋没しないよう、積極的姿勢をもつよう指導をしています。

 全・定(注 全日制・定時制)聴障生交流集会(合宿)、手話弁論大会・手話劇・ろう学校生や二条中難聴生との交流、とくに全・定障聴生交流学習は、本校全・定聴障生・健聴生・聴障卒業生・公・私立他高校聴障生・保護者・教職員などが参加、年々質量ともに実践がすすんでいます。

  聴障生は今後、周囲の健聴生だけでなく
 他の障害生徒と健聴生との交流に橋をかける役割を


 本校聴障生は、健聴生と生活をともにする場が多く、自分の障害をみっめつつ、聞こえる人にも平気で話しかけてゆく力をつけており、真剣に生きようとする態度があります。

 健聴生は聴障生に対し、彼らは障害はあっても、なんであんなに聞こえるんだろう、話ができるんだろう、冗談もいえるし、相談相手にもなる、同じ高校生なんだなあ、と見る部分が多くなってきています。

 聴障生は今後、周囲の健聴生だけでなく、ろう学校生徒や他の障害生徒と健聴生との交流に橋をかける役割をはたす必要があります。
                                                                                                       ( つづく )




 


http://blog.livedoor.jp/kasa0774/archives/23943792.html

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