2012年1月18日水曜日

炭化しはじめた焼肉から 行政の論理を打ち破る方向が見えだしてきた


Once upon a time 1969

      ろうあ者の基本的な要求 ( その5 )

10,生活保障


 イ、日常の生活についていつでも相談が出来て、実際的な援助をうけることの出来る施設を設ける。
  ロ、職業訓練を受ける施設を設け、その訓練期間中の生活の保障を行う。
 ハ、働くことも出来ない、また社会生活に著しい困難を来しているろうあ者に対し、生活の保護を行い、また生活訓練の実施できる施設を設ける。
 ニ、有給休暇をもっと多く、生活にゆとりとうるおいを与えるようにする。


11,平和の保障

 以上の政策を実現させるために、戦争をなくし、平和を守り、軍備に金を使わないようにする。
 そして無用の人命の損失のないようにする。

※ ろうあ者の政策のすべてを「戦争をなくし平和」に置いている点は、戦前・戦後を生き抜いてきたろうあ者の最も基本的な要求としてまとめられている。
 戦争がなく平和であること、このこと抜きに幸せも福祉もない、とする考えは、注目すべきことだろう。
 事実、ろうあ者は、障害者運動だけでなく、平和を求める運動に積極的に参加していく。
 そのため、平和に関わる手話表現が多彩に示されていく。

団体の自主活動
なので行政が補助
することは出来ない

 これらの基本要求をもとに京都府ろうあ協会は、特別指定都市であった京都市と京都市に対して、京都ろうあセンターへの補助をはじめ、ろうあ者の切実な要求をもとに要求書を提出。
 だが、京都市・京都府の幹部はこれらの要求に対して首を振りもしなかった。

 例えば、京都ろうあセンターの事業は、
「団体の自主活動なので行政が補助することは出来ない……」
「手話通訳や生活相談の事業なども団体がしていることだから。」
とろうあ協会の要求とまったく平行線の状況が続いた。


行政の不理解に 憔悴しきったろうあ者の顔、顔

 行政の繰り返すだけのことばに疲れはてて、京都府庁裏の焼肉屋で、みんなが集まって話し合いをした。
 焼き肉の煙がもうもうとたちこめる中での、手話でのはなし。
 消耗感も重なってみんなの顔がすすけて見えたが笑いひとつ出てこなかった。
「ナゼやろう」
「京都府ならいちいち言わなくてもやってくれると考えていたのに……」

 仕事の疲れ以上に期待が外れたみんなには、疲労が大波になって押し寄せてきていた。
 淡い恋心が壊れた、以上の憔悴しきったろうあ者の顔、顔。
 手話も
出来ず、うっむいていたみんな。

みんなと同じ深刻な気持ちに、会員がなっているだろうか

 どれくらい時間が経っただろうか。
 焼肉が炭化寸前になった頃、あるろうあ者からポッリ、ポッリと手話が動き始めた。


 「いつもろうあ協会の役員と役所の幹部との話だけで交渉している。」
 「ろうあ協会の会員のみんなは、みんな話の中身を充分知っているだろうか。」
 「今のみんなと同じ深刻な気持ちに、会員がなっているだろうか。」




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