2012年1月28日土曜日

日本で初めて、公費による手話通訳保障・ろうあ者のための立会演説会参加の保障がはじまる


Once upon a time 1969


     参政権の保障である立会演説会参加保障

 すでに掲載してきた「ろうあ者の基本的な要求」で、

1,職業選択の自由の保障
 イ、最低賃金制の確立 働くものに必要な賃金を保障する。
 ロ、ろうあ者の職域開発とその能力に必要な賃金を保障する。
 ハ、職場における差別をなくし、労働条件の改善をはかる。
 ニ、官公庁が卆先してろうあ者を採用し、企業への門戸を開く。
 ホ、定年制をなくし、老人を街頭にほおり出さない。


4,参政権の保障
 イ、立合演説会に手話通訳を置く。その他について、ろうあ者が不利な扱いをうけるこ   とのないようにする。
  ロ、議会に手話通訳を配し、必要な時はいつでも傍聴できるようにする。

も大きな前進がはかられる。

 特に、まず、「参政権の保障 イ、立会演説会に手話通訳を置く。その他について、ろうあ者が不利な扱いをうけることのないようにする。」について述べて行きたい。

  当時、立会演説会は、公職選挙法で「複数の候補者が同じ会場で同時刻にやる演説会」のことで、選挙運動の一方法であった。
 選挙に立候補した候補者が一堂に会して行われ、公職選挙法では,衆議院議員,参議院(地方選出)議員および都道府県知事の選挙については選挙管理委員会のもとで立会演説会を行うことを義務づけていた。
 1983年に公職選挙法の「改正」により、立会演説会はなくなってしまったが、1969年以前からろうあ者が立会演説会に参加しても候補者の言っていることが分からず、主権者として、参政権保障の重要な位置づけとして、「立会演説会に手話通訳を置く。その他について、ろうあ者が不利な扱いをうけることのないようにする。」ことが要求されていたのである。

 「ろうあ者が不利な扱いをうけることのないようにする。」
ことが要求された背景には、それまで手話通訳者とともに立会演説会にろうあ者も参加していた。
 会場の片隅で手話通訳を等しての立会演説会に参加していたが、名実ともに候補者と「立会」ではなく、話を聞くだけにとどまり、演壇の候補者の様子や会場の雰囲気も分からなかった。



 ひどい場合は、会場の片隅で手話通訳することも会場整備担当者から注意されるということもあった。
 私たちも、主権者として立会演説会に参加出来るべきであり、そのような条件を作るべきであると「ろうあ者の基本的な要求」で明確にされたことは、当然のことであった。

 京都府選挙管理委員会は
 ろうあ者の立会演説会参加保障を十分承知したが

 京都府の幹部交渉以降、京都府民生労働部は、各部、各課とろうあ協会の要求を真剣に検討・協議して縦割り行政の「隙間」を埋めようと必死になった。
 その中で、少なくないろうあ協会の要求が実現した。
 その一つが、「立会演説会に手話通訳を置く。その他について、ろうあ者が不利な扱いをうけることのないようにする。」であった。
 そのことを京都府選挙管理委員会は、十分承知した。
 しかし、公職選挙法に基づく立会演説会の予算には、ろうあ者のための手話通訳保障や障害者の参加のための保障など一切の予算が交付されていなかった。

 障害者が、主権者として、立会演説会に参加することが国の制度ではまったく考えられていず選挙管理委員会も予算化されずにいた。
 障害者の参政権がこのようなことでも否定されていたが、ろうあ協会はろうあ者だけではなく障害者の参加も含めて立会演説会に実質参加出来るようにすべきであるとして、「予算がない」とする京都府選挙管理委員会の言い分を断固として認めなかった。

 京都府選挙管理委員会としては初めての試みと予算の捻出

 そのため立会演説会の責任は、あくまでも京都府選挙管理委員会であるが、「立会演説会に手話通訳を配置し、ろうあ者が不利な扱いをうけることのないようにする。」ために諸費用は、京都府民生労働部の予算から出すことになった。
 このことは、京都府選挙管理委員会としては初めての試みであり、この試みの成果の上に立って障害者が立会演説会にいつでも参加出来るようにしよう、ということが確認された。
 その点で、京都府ろうあ協会としてもこの試みが充分成果を収めるように取り組まれなければならなかった。


 会場
 ろうあ者の席・手話通訳の位置の検討

 立会演説会の会場は、多くの場合小学校などの体育館が使われた。
 参加者が増えると詰め込むことが出来たということもあるが、出来るだけ開催地域の人々が集まりやすい利便性も考えられていた。
 場所によっては、大ホールで行える場合があったが、小学校の体育館の壇上は狭く、手話通訳をどこでするのか。ま

 たろうあ者の座る場所をどこにするのか、などなどの問題が検討されていった。
 手話通訳は2人で交代は、すんなり決まったが問題はろうあ者の座る場所だった。

 この点で、ろうあ協会や手話通訳に意見が求められてきた。

 手話通訳の配置・ろうあ者の席の
    確保を聴衆に説明し、理解を求める

 大ホールでは、正面に向かって候補者の右側。小学校では、壇上が小さいので、正面に向かって右側に手話通訳が見えやすくするため2m四方の手話通訳台を置く。
 ろうあ者は、参加者が集まる正面右側に「ろうあ者席」と明示し、立会演説会がはじまるまで他の人が座らないようにする。
 場所は、手話通訳と候補者が見える前列に数十人分を確保する、というものであった。
 さらに、立会演説会が始まったときに、ろうあ者の人々のために手話通訳が配置されていること、ろうあ者の場所が確保されていることを聴衆に説明し、理解を求める。
 また混乱がないよう選挙管理委委員会の責任者を配置するということであった。


 このようにして、日本で初めて公費による手話通訳保障・ろうあ者のための立会演説会参加の保障がはじまったのである。



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