2011年9月2日金曜日

国際労働基準をジュネーブ(Genève・Geneva)で考える



山城貞治(みなさんへの通信73)

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その53)

 京都府高の代表がILO(International Labour Organization・国際労働機関)本部に行った。
 そのことの報告を京都府高労安対策委員会機関紙「教職員のいのちと健康と労働2000/10」から一部転載したい。

牛久保弁護士の京都府高での学習会がきっかけで
   ジュネーブ(Genève・Geneva)へ

 2000年8月23日午前11時。成田空港第1ターミナルはこれから海外に旅立つ旅行客で賑わっていた。
 京都府高の代表としてILO・ユネスコを訪問しレポートを報告する任務を与えられ、緊張感が私を包んでいた。
 おまけに、航空会社や旅行社の都合でツアー参加者が5つに別れることになり、私たちの便は添乗員がおらずフランスでの乗り換えを自分たちで判断して行動しなければならないことになっていた。
 思えば昨年、牛久保弁護士を呼んで府高が開いた学習会に一参加者として話を聞き、


「そうか国際基準で物事をとらえるのはだいじなことなんやな」

程度にしか認識していなかった私がこんな形でILOやユネスコを訪問することになろうとは…ほんとに人生とはわからないものだ。
 その牛久保弁護士がコーディネーターとなり、ILO・ユネスコを訪問し、「ILO・UNESCO 教員の地位に関する勧告」についての説明を聞くとともに、日本の現状を報告し、意見交換をするという目的であった。
  参加者は牛久保弁護士を始め京都、岡山、高知、東京、神奈川、大阪から25名が集まった。京都からは西垣さん本人と娘さんを含む西垣裁判を支援する会のメンバー4名と府高本部代表の私の5名であった。
レマン湖畔にあるILO本部

 エールフランス275便は30分ほど遅れて成田空港を飛び立った。
 パリのシャルルドゴール空港まで約12時間の道程である。  シャルルドゴール空港ではやはり乗り換えに手間取った。

 通過しなければならないゲートが混雑しており、このゲートは通らなくてもいいと主張する人もいて、空港の職員まで間違った情報を提供するものであっちへいったりこっちへいったり20分はロスしたようだ。
 同じくエールフランス1042便は1時間弱でジュネーブのコワントラン空港に着いた。着陸する少し前、真っ白に雪をかぶったアルプスの山々が見え、スイスに来たことを実感させてくれた。
 タクシーでホテルに向かい、到着したのは夜の9時頃だった。
 レマン湖の香りがホテルの部屋の窓から漂ってきた。


児童の労働の禁止をモチーフにしたモニュメントがある

 翌日は早速ILO訪問の日であった。ネクタイをしめジャケットをはおる。
 日本で聞いていたよりも気温が高く、汗をかくのは覚悟しなければならない。今回のコーディネーターである牛久保さんからレクチャーをうける。参加者は一様に緊張した面もちである。ホテルからバスで20分ほどの所にILOのビルがあった。


 ゲートを入ってしばらく木立の中を行くと写真で見たことのある緩やかなカーブを描いた建物が目に入った。玄関で記念撮影。
 少し離れた所にいくと馬が草を食べている。ILOで飼っているのではない。隣が農家らしい。日本の感覚とはだいぶ違う。
 地下の会議室が会場らしい。写真を撮っていると50歳くらいの黒人男性の方(たぶん職員)が近寄ってきて、英語は話せるかと英語で聞いてきた。少しというと、向こうの方に児童の労働(の禁止?)をモチーフにしたモニュメントがあるから、そこで写真を撮るといいよと英語で教えてくれた。
 ILOの人ってなんて親切でなんてかっこいいんだろう。というのが私の第一印象だった。
 このモニュメントは写真に納めてきたが、本当に絵になるものだった。
教員評価は、教員の自由と責任を侵すものであっては
   ならないとILO教育セクター担当

 さて、私たちの対応をしてくれたのはビル・ラットリーさんというりっぱな髭を生やした紳士だった。
 彼はILOに20年勤めており、ここ11年は教育セクター担当ということであった。
 頭は府高委員長ほどではないが髪が薄かった。ラットリーさんが教員の地位に関する勧告について説明してくださったあと、高知から(高知県教組と岡山高教組は委員長が参加。京都府高は委員長が飛行機恐怖症のため実現せず)教職員の人事考課制度に対する現状報告があった。
 ラットリーさんは教員の地位に関する勧告の内容を紹介しながら、

・教員に対する評価制度そのものの是非については触れていない。
・もし評価制度を作るのであれば、教員を励ますものでなくてはならないし、 教員の自由と責任を侵すものであってはならない。
・評価と賃金がリンクする制度(メリットペイシステム)を導入しようという ことならば、導入にあたっては職員団体(組合)との協議と同意が必要であ る。
・イギリスでは責任とギャリアの度合いによって給与を決定するシステムが導 入され、教員の団体交渉権が廃止された。(政府が)一方的にという言葉は キーワード゙になりつつある。
・メリットペイシステムを懲罰の為に使ってはならない

と明快に答えてくれた。
 ILOは政府、資本家、労働者の三者で構成されており、決して全て労働者に味方するわけではない。
 そのILOが示す見解と日本の行政の違いに、改めてグローバルスタンダード゙としての「勧告」学習と「勧告」を教育行政に生かすとりくみの大切さを痛感した。
 次に京都から発言する番が回ってきた。言いたいことは色々あったが、この時点で残り時間は少なかった。


「教育と労働安全衛生と福祉の事実」は、ブログを変更しましたが、連続掲載されています。以前のブログをご覧になりたい方は、以下にアクセスしてください。

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