2013年7月22日月曜日

ろう学校を驚愕させた 一枚のビラ ろう学校授業拒否事件生徒たちの意見(2)



教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
 ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー


  生徒たち登校して自主的な学習をしていたことを考えて

 ※ 最初にお断りしておかなければならないのは、当時、聾学校では、約200人の生徒中聴力が90㏈以上の生徒は、(現在デシベルの国際基準に合わせて、両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上のもの・両耳全ろう)京都府教育委員会が京都府議会で正式に答弁したのは、30%。

 
 従って、聾学校高等部には、補聴器を付けても充分聞き取れる生徒。
 補聴器を付けなくても聞こえる生徒。
 口話で先生の言っていることがほとんど読み取れる。
 進行性の難聴だった生徒。
 重複障害だった生徒がいた。

 
 その生徒たちが集まって、それぞれの記録を出し合い、先生の言ったことをつき合わせて事実をしっかりおさえて、生徒会の「全校の皆さんに訴えます    京都府立聾学校高等部生徒会」のビラを密かにつくったのです。
 そのビラを見た先生たちは仰天。青天の霹靂であったという。
 そして、教職員の中で意見が二分し、大論議と対立と分裂が生じたことが最近分かりった。それらも後々述べていたい。

 だが、今回のことを調べて見て「授業拒否 ー3・3声明に関する資料集」のタイトルが、ことの本質を不充分現していないのではないか、と考えた。

 写生会は、教育外特別活動であって一般授業と切り離されて考えられている。
 生徒たちは、それにNOと言い、学校に登校したのだから「同盟登校 ー写生会拒否」のような名称が当時の表現としてふさわしかったのではないか、と思う。
 なぜなら、生徒たちの教育要求は「まともな授業をしてほしい」と言うことであったからである。

 「全校の皆さんに訴えます  京都府立聾学校高等部生徒会」の続きを掲載します。

  先生は組織活動のいろはも御存知ない

3,ある先生がおっしゃいました。
「先生にはいろいろの考え方がある。生徒会としては、一番よいと思う考え方に従えばよい」と。


これでは生徒会はたまったものではありません。
 卓球部の大会派遣選手の練習については、Y先生のお考えもあります。

 M先生のお考えもあります。勿論、T先生、F先生、N先生のお考えもあるでしょう。
 このようなとき、生徒会は一番信頼しているN先生の考えを取り上げた場合、一体どうなるとお考えでしょうか。

 私達は生徒会活動の中で、組織活動とはどのようなものか、実践を通じて体得しはじめています。
 それなのに、先生は組織活動のいろはも御存知なくて、それでも先生として指導なさろうと言われるのでしょうか。


 ある意味では、こんな恐ろしいことはないと思います。

 今よりもなお高く、今よりも
       もっと先生方と親密になることを

 


この書類を提出するに当って、ただ一つ心残りがあります。
 それは、指導部のN先生と、この件について相談出来ないことです。
 何故かといいますと、N先生と相談すれば、その結果、もし説得役として、N先生が来られたら、私達は、先生方と話し合うことも何もかも、できなくなってしまうからです。

 このような重大な問題は、直接の当事者がN先生であろうとも、やはり、高等部の先生全部の話し合いの中で深められ、高められなければ意味がないと思います。

 生意気な生徒達だ、けしからんと思われる先生もあるでしょう。
 相変わらず生徒は常識がないと言われるかも知れません。

 しかし私達生徒は、このような問題が誠実に取り上げられることによって、高等部生徒会が今よりもなお高く、今よりも、もっと先生方と親密になることを希望して、最後の手段をとるのです。

 くれぐれも申し上げますが、
「私は全く関係がない。これは生徒の誤解だ」
などと不誠実な回答を賜わりませんように。

 浮き上がりだ、一部の生徒のとんでもない考えだ、など軽々しく考えないようにお願いします。
 私達は以上のような書類を生徒会で書き上げ、そして生徒指導部に提出することを全員一致で決定し、それにもとづき、11月12日、午後1時、役員の手から、直接部長であるT先生に手渡しました。

  何の断りもなしに、約束を破って帰ってしまわれた

 その日の放課後生徒集会をもちましたが、その時、指導部のT先生とF先生が来られ、いろいろと話をされました。

 しかし、そのお話は、一部の生徒のみにしかわからなかったのに加え、私達が要求した回答ではないと判断し、11月16日の放課後、3時10分から指導部の先生三人と、生徒代表とが話し合う約束を致しました。
 生徒代表は、3時10分約束の時間に集まったのに対して、約束を守ってきちんと来て下さったのはN先生だけでした。

 T先生は、しびれを切らして、呼びに行った会長、副会長にいわれて、やっと来て下ださったし、F先生は、呼びに行った2名の生徒の目の前で、用事があるからと、私達に何の断りもなしに、約束を破って帰ってしまわれました。

  自分は生徒会から退くことにします
          私は校長にそう伝えます

 仕方がありません。
 先生2人と、生徒会代表とで、話し合いがもたれました。
 
 その時のT生徒指導部長の回答は次のようなものでした。


「自分は、このようにごたごたすると困ると思って居りました。
 なるべくおだやかにすませたいと思って居りましたが、事ここに至っては非常に難しくなって来た。
 現在では、自分はN先生とは意見が合いません。
 TはTとして立場をはっきりしなければならなくなりました。この際自分は生徒会から退くことにします。私は校長にそう伝えます」


 これでは、前記の提出書類に対する回答にはなりません。
 しかし、T先生は、このことを、くり返しくり返し、一生けんめいに、みんながわかるために言って下さいました。

 この態度は立派であると思い、私達は態度に誠意のあるのを見いだしました。 しかしF先生の、前述のあの態度には、残念ながら一かけらの誠意さえ見いだせません。

 その上、11月17日の生徒集会においても、会長の言動に対し、

「馬鹿野郎」

とカンカンに怒ってどなられたのです。

  みなさん方も 
  皆さん方の問題としてとらえ 私達と共に考えて

 私違は16日の指導部との話し合いによって、親密になれることを期待していました。
 しかし、このような態度の先生とは親密になろうと思っても無理だと判断しました。
 そして先生としても失格であると判断しました。
すみやかに御退職されることを要求します。


 又、主事は提出書類の問題については、指導部の責任だ責任がの一点張りで、私達に対して、ひとかけらの誠意も示して下さいません。
 このようなことには、明らかに問題があると判断します。

 幼稚部、小学部、そして中高等部の先生方、私達は、今日、今日予定されていた写生会をけり、登校致しました。

 私達は満足に日本語をあやつることができません。
 そのかわり、このプリントをお渡しします。


 皆さん、私は関係がないなどとおっしやらず、私達が当面しているこの重大な問題を、このプリントから理解して下さい。

 そして、皆さん方も、皆さん方の問題としてとらえ、私達と共に考えて下さい。

                                                                      ( つづく)

 

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