教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー
日本で創造された共同教育 インテグレーション・メインストリーミング・インクルージョン ましてや特別支援教育ではなく(30)
検討するまでもなく寄宿舎に受け入れられない
ろう学校からの返事はすぐに来た。
検討するまでもなく受け入れられないという返事だった。
ろう学校の寄宿舎は、
1,ろう学校の生徒のための寄宿舎であり、他校の生徒の寄宿舎ではない。その基本を外すとろう学校の寄宿舎が寄宿舎でなくなる。
2,寄宿舎には、E君のような肢体不自由の子どもの施設がなく、とうてい受け入れがたいことを山城高校が言ってくるのは、ろう学校の実情を承知していないからである。
と言うのが主な理由であった。
絶対承服できないもの
断られることは予測していたものの、②の点は絶対承服できないものであった。
なぜなら、
1.ろう学校には、重複障害の生徒が多く在籍していることは、充分知っている。
寄宿舎では、聴覚障害の生徒への施設配慮はされているが、肢体不自由の生徒の施設配慮は、されていないとでも言っているのだろうか。
ろう学校の実情を知らない人ならうなずけてもこの項目はうなずけないものであった。
校長にそのことを説明すると、校長はびっくりしていた。
当時は、京都府教育委員会では、高等学校の担当と障害児学校の担当が別であったため、高等学校の担当も校長もろう学校からの返事に納得していたのである。
2,とうてい受け入れがたいことを山城高校が言ってくるのは、ろう学校の実情を承知していないからである、という項目は、山城高校の聴覚障害教育担当は、ろう学校の教師でもあったことから考えても、ろう学校の実情を承知していない、という主張は、聴覚障害教育担当者への「批判」ともとれた。
3,ろう学校の寄宿舎は、ろう学校の生徒のための寄宿舎、という言い方は、「説得力があるようでなかった」。
府県によって設置責任が違った寄宿舎
このことを知る人は少ないが、盲学校やろう学校が戦後早く義務化された時、
寄宿舎は、盲・ろう児の児童福祉施設(厚生省管轄)か、ろう学校の寄宿舎(文部省管轄)か、どちらでもよいとされた。
そのため都道府県によっては、児童福祉施設としての寄宿舎として学校に併設されてつくられているところが少なくなかった。
これらのことから考えてもE君が、ろう学校の生徒でなくても入舎出来る道をつくることは可能であった。
ろう学校の生徒でないと言うなら「二重在籍」も検討すべきだ、と言ったが寄宿舎入舎の門は、開かれなかった。
なぜ 同じ障害があるのに断るのか
E君に寄宿舎入舎が出来ない故を説明したが、
「なぜ、同じ障害があるのに断るのか。」
と憤慨した。
私たちは、今はそうだろうけど山城高校のように少しずつ取り組み、状況を変えて行かなければならないし、今は苦しいけれど、いつか変えて行こうと話をした。
そのE君が、山城高校を卒業して、福祉大学に入り、卒業し、寄宿舎教諭(当時、寮母の名称)になり、今、ろう学校の寄宿舎教諭として働いている。
時代は、変わるものである。
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