2012年10月12日金曜日

養護教諭から すべての人々が健康に あなたへ健康メッセージが


    教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
 ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー

 

 定時制高校の現状で述べたように勤労青少年の高校教育を保障するという定時制高校の役割が、今ではそれだけにとどまらずすべての高校教育を希望する青少年の要求に答える、という役割を負っています。

  根深い劣等感が  創造的なとりくみでとりのぞかれていく

 山城高校定時制でも二次の学力検査の入学者が一次の三倍もあります。
 そしてその合格者の9割以上が全日制や私学など複数の高校に失敗した上で入学してきます。

 その根深い劣等感が学校全体で生徒の実態をふまえた創造的なとりくみでとりのぞかれていくのです。

 ところが今年は例年に比べて劣等感からの立ち直りが遅くより「奥深い劣等感」がみられます。


      必要性を痛感した 生徒の健康をトータルに知ること


こういった現状の中で一人ひとりの生徒をトータルにつかむことの必要性を痛感しました。
 それを私たちの手元にある資料として考えた場合、中学からの調査票、高校でとる保健調査。
 そして入学後の面接などその他と大きく三っにわけて、その三っの中で私たちが教育上の重点的指導を必要とする生徒をどれで知ったのかを調べてみました。

 すると調査票30%、保健調査63%、その他7%ということで生徒をトータルに把握する上で保健調査はかなりを占めているということがわかりました。

 そのため保健調査の方法や内容を検討し改善をはかりました。

  健康について
「どんなねがいがあるか」を

 特に親のねがいなど具体的に書ける工夫をし、家の人達、生徒たちの健康について

「どんなねがいがあるか」

を明らかにしそれにこたえる教育実践をということで内容改善をはかつてきました。

 作製した「健康調査カード」を職員会議で提案し、決定され実施することになりました。
 また「調査」だけに終るのではなく生徒一人ひとりの個別の課題をみっけ一人ひとりに返していくことが、健康教育としては大切ではないかと考え、従来生徒に渡していた「健康診断結果」の形式や内容にも改善を加えました。

          すべての人々が健康に

 このカードをわたすことによってまず自分のからだを知り、課題を見い出し協力し、みんなが健康になれるよう

 すべての人々が健康に

というタイトルで「個人カード」を作製しました。

 このカードにはまずカードの意味WHOの健康の定義を示し、生徒の健康状況を記入しました。
 そして養護教諭としてカードの最後に彼ら一人ひとりの課題をみつけ返していくことで、決して自分の健康は自分の力だけで守るのではない。

 どうすればみんなが健康になれるのかそれをみんなで知恵を出し広めていこうということで

「あなたへ健康メッセージ」

として書きそえることにしました。

 子どもが横で見ていて
    それは書かんでええ、それはいらん、て言うもんですから

 「健康調査カード」とともに

「生徒のための健康カードご記入の前に」

として父母あての文章もつけ、入学した生徒に手渡しました。
 この健康調査カードは82%の生徒から返ってきました。
 中には

「子どもが横で見ていて、それは書かんでええ、それはいらん、て言うもんですから書かれへんかったんです」

と言って保健室に話しに来てくれたお母さんもいました。

 ここには従来私たちの学校ではあまり聞かれなかった健康にっいての親子の会話が生まれてきていることも知りました。

「ぜんそくが早く治ってほしい」

「4年間病気もせず、元気につづいてくれるか心配です。」
「生まれた時は未熟児で弱かったけれど高校生活も最後までがんばってからだも大きくなってほしい。」
「学校に来るのが楽しみやという毎日であってほしい。」

など子どもたちへの素朴なねがいがいっぱいでした。

 細かい文字で生徒の生まれた時から現在までの生活ぶりを用紙いっぱいに書いてあるものもあり、このねがいが生かせるように学校教育全体の中で考えなければならないと痛感するものばかり。

 父母や生徒の健康への熱いねがいを知ることができました。

  健康診断をまったく受けていない生徒たちに
  学校にまだ数回しか顔を見せていない生徒たちにも

 そして、健康調査カードにもとづき学校医とも相談しながら、例年のごとく健康診断が終った頃を前後して健康調査カードの「ねがい」を書きぬき何度も目を通し保健室にやってくる生徒たちの様子を書き置き、健康診断の結果をながめました。

 それから、教科担任部会で出た意見も参考にして何とから一人ひとりの課題を見っけて彼らに返していこう。
 健康診断をまったく受けていない生徒たちに、学校にまだ数回しか顔を見せていない生徒たちにもすべての在籍する生徒たちにも。

 それが何らかの彼らの生きる上での積極的な姿勢になるためのとっかかりにならないか。
 そして健康診断にっいても必要性を考えるものにならないか。

 そんなねがいのもとに

「すべての人々が健康に」の個人カード

を一つひとつ記入していきました。

 そして、個人カードの最後のページに「一人ひとりの生徒に健康メッセージ」として生徒の課題を記入していきました。
                                            ( つづく )

 

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