2012年10月15日月曜日

養護教諭から 生徒の新しい変化と健康教育の新しい提起

 
    教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
 ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー

 
    先生おれのこと知らんと思てたわ

 一学期の終業式。
 この「あなたへ健康メッセージ・健康診断断結果」カードは担任の手から渡されたのですが、その日すぐうすいブルーのこのカードを片手に15名程の生徒が保健室にやってきました。

「先生おれのこと知らんと思てたわ。」

と照れくさそうに来た生徒。
 23日後に

「何でおれらの時あんなカードくれへんかってんな。」

と現在在籍している弟のカードを見たらしく今年卒業した生徒が言いにやってきました。

 このことは悩んで1カ月程前から書きあげていったことが救われた、と同時にまた新たな発見もできました。

(1)「あなたへ健康メッセージ・健康診断断結果」カードを大切にして何度も読んでいる生徒がいること。

(2)尿検査を自ら受けに来るようになったこと。

(3)カードに記入してあることや読み方がわからずに聞きにやってくる生徒があり、その中で自分のからだのことと健康のことを知ろうとする動きがあること。
 また生徒同士で健康を学び合うという動きもみられました。

   生徒の健康状況をトータルにつかみ
   個別の教育課題が見い出せる

 これらのことは主体的に自分の健康課題にたちむかおうとする動きが生じはじめていること。
 定時制全体の生徒の健康状況をトータルにつかみ個別の教育課題が見い出せるようになってきているということではないでしょうか。

 しかし、よりよい健康教育をすすめるためにいくっかの課題があげられると思います。

① 「すべての人々が健康に」をめざして、まず若者らしく積極的に健康課題に立ち向かう意志が弱い。

 しんどいから、いやだから、おもしろくないから、とすぐに中途半端にする、やりきることの自信と喜びを味わうことがむずかしく生きる展望が持てない。

② 職場の中では自分の意志で行動せず言われるまま。
 疑問や問題意識やねがいを持って生命や健康をおびやかしている環境や生活条件に目がむかない。

③山城高校定時制の教育をすすめていくための健康調査カードであるが生徒ひとり一人の課題を明らかにして学校全体のものになりきれていない。

  教育活動とは
生徒を直接対象にして指導する活動をいいとなっているが

 山城高校定時制の内規の中で

『教育活動とは本課程の教育課題にもとづいて生徒を直接対象にして指導する活動をいい、教科指導、生活指導、進路指導、保健指導及び自治活動は主として教員(養護教諭を含む)が行う』

と示されています。
 しかし独自な実践と全体の実践との統一が不十分な現実の中でその統一をめざすことも大きな課題としてとりくみたいと思っています。

  バラバラにされても
教育の取り組みをすすめた教師たち

   1990年代になって山城高校定時制は、京都府教育委員会からさまざまな嫌がらせを受け、教職員の強制異動や生徒の入学制限などが行われた。

 結局、山城高校定時制は廃止されたが、山城高校定時制の教育で学んだ教育実践の教訓を異動された高校でも実践している教職員は少なくない。
 

  「あなたへ健康メッセージ・健康診断断結果」カードを作成した、養護教諭の現在の教育実践報告を次回に掲載したい。
                                  ( 新 つづく )


 

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