教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー
「すべて人々が健康に」「あなたへ健康メッセージ・健康診断断結果」カードなどを作成し、生徒の健康をトータルに知ることに努めた養護教諭は、山城高校定時制の取り組みの教訓を基に創造的な健康教育を現在もすすめている。
その取り組みの一部を紹介させていただく。
ただ今 パニクり中。気分が晴れるまで
今日も校庭を通過して、ぶらりと冴えない表情の男たちや女生徒がそれぞれ散歩している。
制服のポケットには、
「ただ今 パニクり中。気分が晴れるまで少し歩かされておいてください。
授業の邪魔はしません。よろしく。保健室」
と書いた厚紙を入れて持ち歩いている
ときには、近くの「神社の裏山の展望台」まで「散歩」。
ささくれ立ったこころが滑らかになっていく
学校の近所のおじいちゃんやおばあちゃんが仲よく手をつないでいたり、親子連れが、聞こえてくる鳥のまねをしながら通りすぎたり。
「こんちわ~」
と声をかけてもらう。
固まっていた気持ちや、ささくれ立ったこころが滑らかになっていくのが実感できるようで、冴えない表情がやわらかい豊かな表情に変
化する。
そして、学校に戻ってくる。
納得出来んの
毛の染色で帰宅するように言われたけれど
本校の保健室の来室者は年々増加傾向。
2009年前頃から、増加の一途をたどり、年間4000人以上、6000人以上、7000人となり、念願の養護教諭複数化が、実現し、専任講師から正規の養護教諭の二人で対応出来るようになった。
保健室には、全校の80%が来室して保健室に入れない生徒が廊下で待つこともしばしば。
「髪の毛の染色で帰宅するように言われたけれど納得出来ん。」
「すぐ家に帰って髪の毛を黒く染めて来いって。」
「ある先生は、その程度やったらいいと言い、ある先生はダメと言い。今日はすぐ帰れって 納得できないの」
「保健室の先生は髪の毛を染めるのは、有害物質を頭にかけるようなものって言ってたけど。すぐ真っ黒に染める毛染めはもっと有害なんやろ。」
「土、日で染め直してくるから今日は許して、って言っても聞いてくれはれへん」
と自分のことと先生の言っていることを筋道たてて話せず、何かがおかしいけれどうまく言えない、と混乱している女生徒。と、また
「先生……先生にスカートとりあげられる」
びっくりして充分聞けば、
制服のスカートの丈が短いから家に帰って長いスカートにはき替えて「短い丈のスカートを先生に提出」するよう言われたとのこと。
「親に、何度も何度も、死ね、って言われた。傷ついてしかたがない」
「聞いて聞いて」
と騒がしく保健室にやってくる生徒。
無言のままおとなしくして保健室にやってくる生徒。
養護教諭は立ちっぱなしで対応しても保健室はすぐ満員になる。
教師の発言に瞬間的にいら立つ 保健室はいつも満杯
ここ数年は、クラスの居場所、家庭の居場所、友人関係のトラブルが多い。
イライラした気持ちを自分に向けリストカット。
過呼吸。
お腹が痛い、頭が痛いは、日常的。
夏は熱中症になる生徒が数え切れないほど。
バイト先での外傷。自宅での外傷。で治療を受けながら保健室にやってくる生徒も少なくない。
また、精神疾患になっている生徒も多い。
保健室に来て、しばらくして帰る生徒も。
授業が分からない。
慢性の睡眠不足。
授業中の教師の発言に瞬間的にいら立つ。
保健室は、生徒がいない時はない。
授業中であろうと、休憩時間であろうと、自分の中に納めきれないものがあると「すぐ行動」にでる。
テストの日でもすぐ帰らない。
日々の学校生活の中で自宅に帰りたくない生徒の居場所が、保健室になっている。 ( 新つづく )
0 件のコメント:
コメントを投稿