2012年8月22日水曜日

「鎧」「兜」を脱ぎ捨てた授業から


教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
 ー 京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育 ー


  教職員が英語のI先生から、二つのことを学び、論議したのは

 まず第一に、授業をしていても理解が出来ていないことがありありわかる。

 そんな生徒のところに行って、休み時間少し教室に残ってくれない、授業のことで少し説明したいので。
 とか、放課後時間つくってくれかなあ。授業のことで補習をしたいのやけど、などなど言うと生徒の表情が急変し、俯いたままなにも答えなくなる。

 次の日から学校に来なくなったり、自分の授業だけはすべて欠席すると言うことがたくさんあり、悩んでいた。

 I先生の話を聞いて、

 生徒自らの学ぼうとする要求。
 自分自身への自分の評価の高まり。
  少しずつ学ぶ喜びを知って行く姿。


このことから、生徒たちのことと思って補習時間を作ろうとしたことの可否を教師として問いかけてみよう、という反省が産まれた。

   納得したようで納得させられた思春期に

 ある先生は、生徒の家を順々に家庭訪問しながら、特に「来なくなったり」「呼びかけた先生の授業だけ欠席した」ことを婉曲に聞いたりした。

 するとあるお母さんが、こんな話をしだした。

「うちの子は、それなりに一生懸命授業を聞いているようなんですが、成績が悪い。」

「そこで、教科の先生や担任の先生が補習授業を受けるかと聞いてくださった。
 でも、本当はいやだったんですが、ウン、と言わないと許してもらえない雰囲気だったそうです。
 先生は、うちの子が納得したと思って、放課後や休み時間、時には、授業が無いときも補習授業をしてくださった。
 でも、うちの子は先生の気持ちからますます離れていたのです。」


「この時間は友達と遊んだり、話をしたりする一番楽しい時間。先生は時間を割いてくださるのはわかるけど、友達関係がだんだん崩れてひとりぽっちになってしまったんです。」

「やーい。お前だけ特別教えてもらっていいなあ。俺なんかほったらかしやぞ」
とか言われて、いじめられる、ことが多くなって次第に学校に行かなくなったんです。

「うちの子には進学塾に行かせるお金を持たせてやることなんてとても出来なかったし……」 

 教師がよかれと思っていることでも、生徒にとっては脅迫

 この話を聞いた若い先生は、非常なショックを受けて第2回目のI先生から学ぶ学習会で

「どうしたらいいでしょう。」
「教師がよかれと思っていることでも、生徒にとっては先生が時には脅迫しているとさえ思える時があるんですね。」


と提起した。

 別の教師からは、もっと強烈な話があった。

「お前はあほやから なんぼ勉強しても意味が無い。学校に来るな。みんなのジャマだ。」

と徹底的に言われてきた。

 そのため、先生が補習のようなことを言ってくると、素直に受け取れなくなって逆に自分のあほさ加減を晒そうとしていると思い込んでしまっているのではないか。

      思春期の微妙な時期に 大きな痛手を受けて

 先生がより教えようとしても学校に来なくなった生徒やその教科だけ休むようになった生徒の中学校から送られてきた書類を見るとほとんど「怠学傾向」となっている。との報告がされた。

 中学校という思春期の微妙な時期に、大きな痛手を受けてたのが、学校に来なくなった生徒やその教科だけ休むようになった生徒であることがわかってきた。

 休み時間少し教室に残ってくれない、授業のことで少し説明したいので、とか、放課後時間つくってくれかなあ、授業のことで補習をしたいのやけど、などなど言うことは一切やめよう。

 生徒自身から、

「先生ここわからんから教えてって言うまで待とう」
「いつまで待っても言ってこなかったらどうするの」
「それは、私たち教師の実践が悪かったからだ。もう一度、教育実践を交流して考えて見よう。」

 今まで、教師になるためにと教えらて来た「鎧」「兜」を脱ぎ捨てることが要求されることだった。

 猛勉強と基礎学習しないことには
    I先生のような教育方法は出来ない

 第2番目のことは、I先生がことなげに説明し、実践している小さなプリントは実は充分学習しつくした後で削ぎ落とした英語の基礎を創造して作成されていることはI先生から学習したすべての教師には解っていたことだった。

 猛勉強と基礎学習しないことには、I先生のような教育方法は出来ない。
 ほとんどの教師が、頭を抱えた。

1953年10月27日 山城高校定時制生徒会文芸部「夜学生の詩第3号」より

        ある一日の記

  二度目に起こされたその時は
 ねむたかったよ ずいぶん眠たかったよ
 まくらもとには 昨夜の本が
 一昨日と同じページのままで
 あくびをしていたよ


 朝飯を流し込んだその時は
 その味は分からなかったよ
 何故って
 時計とにらめっこ乍ら流し込んだから
  何故って
 職場を遅刻したら
 それだけ減収になるんだから


 職場には 死んだような光の
 蛍光灯に照らされて
 鉛が灰色に光っていたよ
  そしてその下で やせた印刷工達が
 黙々と手を動かしていたよ
 そして私の 疲れ果てた手も


 五時五十分になっても
 私は鉛の冷たい光に包まれていたよ
 しばられた飼い犬が
 外飯を求めてもがくように
 うつつにサイレンを聞きながら


 この手を止めれば
 明日のパン代はどうなるんだね
 この手を止めなければ
 今日の授業はどうなるんだね  
 

  雇主の眼を逃れるように
 私は登校したんだよ
 だのに掲示板には
 「休講」と書いた紙切れが
 淋しく秋風にひらめいていたよ


                                                                             Esperanza

 

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