重大発見 みんな そんなに聞いてないんだ……

 教育としてのろう教育・聴覚障害児教育・障害児教育
　ー　京都のほどんど知られていない障害児教育から学ぶ教育　ー
 
                重大発見した私

　何が不便だったか。

　黒板の先生の書いた字を写してる時、先生がペラペラしゃべる。
　これ。私、聞いてない。
　聞けない。
　何か言ったかしら。
　でも、でもですよ。
　
　私、重大ていうか、発見したんですヨ。
　授業中、まあ、あるでしょ。先生が話する。
　生徒の1人が何か言う。
　で、ドッて笑いがおこるって。
　たびたびあったのヨネ。
  なんか言ったの　なんで笑うの   みんな笑いよるし　つられて…
　私、何言ってるかわからんし、笑うに笑えんでしょ。
　くやしいな一て思う時があった。

　そこで、ある日、聞こうと思いまして、キッカケを待ったんです。
　ついに、笑いが起こりました。
　ドッって。
　真先に友達に

「なんか言ったの。なんで笑うの。」

って聞きました。
　友達、なんて言ったと思う？
　思いがけない言葉でした。

「知らん。みんな笑いよるし、つられて…」

って。

 みんな　そんなに聞いてないんだ…

　ヘェーって思った。

　聞いてないか、又は聞きのがしたか…。
　また、他で、もう一度聞こうと、次のチャンスを待ったワケです。
　その時も、

「さあ…。わからんわ。」
「みんな笑うもん。」
「知らんけど…。」

って答が多かったこと。

　みんな、そんなに聞いてないんだ…。
　聞こえてないのか…あるいは…。
　
　私知らなかった。

　今まで、みんな全てが聞いてわかって、オモシロがって笑ってるのだと思っていた。

　なのに…。
　なんでかわからんけど、なんだか、ウキウキしちゃって…。
　なんでもないコトだったりして…。

　そんなふうに、知らなかったこと、がいっぱいあった。
                                      ( つづく)

                                                               Esperanza