2011年10月29日土曜日

「学習障害」という表現は学校教育法にはない


 さらに久田氏は、核心を追求した論述をを書いている。

 「学校教育法等の一部を改正する法律」が平成18年6月15日に成立しましたが、その中には「LD, ADHD, 高機能自閉症児等」はおろか「学習障害」という表現もありません。
 「教育上特別の支援を必要とする児童、生徒及び幼児」と書かれており、診断名で規定されてはいないのです。
 平成18年7月18日の「特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について(通知)」においても同様です。

 まさにそうである。
 これらをいくら読んでも「学習障害」という表現は出てこない。

厚生労働省
関係法案・通知に関連する特別支援教育課の通知

そしてさらに、

 平成19年3月15日に文部科学省特別支援教育課は「『発達障害』の用語の使用について」という通知を出しました。
 その中で、問題の多かった「軽度発達障害」という用語を用いないだけではなく、今まで多用していた「LD,ADHD,高機能自閉症児等」という表現も原則使わないこととし、代わりに「発達障害」という用語を、発達障害者支援法の規定に基づいて使うと宣言しました。
 また、同じ特別支援教育課のホームページには発達障害支援法の「発達障害」の規程が丁寧に書かれています。
 要約的に紹介すると、発達障害者支援法の第二条に発達障害者の定義があり、そこには広汎性発達障害(当然、自閉症を含む)と学習障害、注意欠陥多動性障害があげられています。
 更に、政令に規定する障害という文言があります。
 それを受けて、同施行規則(政令)では、言語の障害と協調運動の障害があげられ、更に厚生労働省令で規定する障害という文言があります。
 政令で規定された範囲についても、言語障害や発達性協調運動障害が加わり、特に言語障害は非常に数が多いだけでなく、原因が多岐にわたるため、いろいろな問題が絡んでくることが予測されます。(だからといって、悪いわけではないが)。
 その次に、いよいよ厚生労働省令の規程を読んでみると、実に多様な障害があげられています。
 なんと心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害があげられているのです。


と、久田氏は、文部科学省特別支援教育課は「『発達障害』の用語の使用について」という通知・厚生労働省令の規程などを読んだ上での解説を書いている。

文部科学省の文章は厚生労働省に従属した文章として連動する

 この当然といえば、当然であることを窪島氏は、平成19年3月15日に文部科学省特別支援教育課は「『発達障害』の用語の使用について」という通知を読んでも、文部科学省以外の厚生労働省の関係する発達障害者支援法とその関連する文章を読みこなしていたとは考えにくい。
 国・文部科学省・厚生労働省を別の分野として捉えて、考えていたのではないかと考えられる。
 ところが、国の動きや文章などは、各省庁の分担と従属・もたれ合い関連で出されることは常識なのであるが、「教育界」の一部では文部科学省だけでの動き考える傾向が強い。


教育労働と密接不可分な関係がある文部科学省、厚生労働省

 厚生労働省との関連で文部科学省が文章を出しているならば、厚生労働省の文章も読みこなさなければならないだろう。
 だが、窪島氏は、両方の省の文章を読み込んで「発達障害」を論じているとは考えられない。
 なぜなら、彼は、文部科学省の文章に出てくる発達障害者支援法をあげているが、久田氏のように発達障害者支援法関連の厚生労働省令などの障害の規定を読みこなしていれば、縷々引用した彼のような「発達障害」の規定が出てこないからである。


厚生労働省の「自立支援」などの政策と
 切り離せらされない障害児・者問題と教育

 もっと分かりやすくいえば、窪島氏は、「発達障害」を他の障害と切り離して書き、「発達障害」を普通校・普通学級のみに限定して書いているところを見れば明らかである。

 客観的に各省庁の文章を読み、論述するより、主観から文部科学省の一文章を読んでいることが明らかになる。


 

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