2011年10月27日木曜日

臨調・行革から出された財政削減のための特別支援教育論


西信高氏の論理的分析は、文部科学省が打ち出す方向の本質を突いたものである。
この分析をよく読むと、窪島氏がいかに文部科学省の「代弁」をしているかが良くわかる。
これらの文章を熟読した西信高氏は、次に最も重要な国・文部科学省などの本質を露わにしている短文を見逃しはしない。


既存の特殊教育のための人的・物的資源の配分の在り方
について見直しを見抜くかどうか、で決まる
 臨調・行革から出された財政上の特別支援教育


西信高氏は、特に次の点に注目している。
 第1章の締めくくりとして
「近年の国・地方公共団体の厳しい財政事情等を踏まえ、既存の特殊教育のための人的・物的資源の配分の在り方について見直しを行いつつ、また、地方公共団体においては地域の状況等にも対応して、具体的な条件整備の必要性等について検討していくことが肝要である。」


という文章があるが、特別支援教育にかかわるさまざまな問題を考えるうえでは、この文章は見落とすことのできないものである。
財政問題が本文中でこのように強調されることは、従来の答申や報告にはなかったことである。
これは、言うまでもなく2001年(平成13年) 4月に発足した小泉内閣によって急速に深化することとなる
「構造改革」の一環をなすからである。


臨調・行革・財政・障害者自立支援法


この「自立」は、その後の障害者自立支援法に引き継がれるている。
この法律に対しては、国会上程・審議の段階から、障害者に関連する多くの団体が強く反対した経緯がある)。
応「益」負担の問題等々が指摘され、「自立阻止法」とも揶揄されたのである。
そして政府は法の成立後、このような世論に押される形で負担の軽減策をいくつか打ち出している。




窪島氏が読むべき「重大部分を読み込む」


西信高氏の論理的分析は、文部科学省が打ち出す方向の本質を突いたものである。
この分析をよく読むと、窪島氏がいかに文部科学省の「代弁」をしているかが良くわかる。
これらの文章を熟読した西信高氏は、次に最も重要な国・文部科学省などの本質を露わにしている短文を見逃しはしない。


窪島氏が、文科省、等行政の基本姿勢が不合理として、「予算も人材も増やさず」と簡単に付け足しに書いていることを西信高氏が、同じ障害児教育学の立場から「予算も人材も増やさず」「予算を削る」ことが本質であると見抜く。


西信高氏は、窪島氏と同時代障害児教育研究をすすめてきたが、この「大きな落差」はどこから生じてくるのか次第に解明されていく。


特別支援教育は、学校統廃合のため


後にふれるが、文部科学省が特別支援教育を打ち出した時に、病弱学校、盲学校、聾学校、養護学校の順で学校の統廃合をすすめている計画を打ち出している。
これらの計画は、1960年代から文部省(当時)がすでに打ち出したもので、養護学校義務制を打ち出した時点で、養護学校の義務制で「重度障害児」の教育問題は整理されたとした。


そして、次に来るのは、普通校に在籍する「軽度障害児」だとして調査・検討をはじめたが、そこに「臨調・行革」が覆い被さり、名称の変更と学校(障害児学校も普通校も)統廃合が加速したことは、障害児教育研究を真摯にすすめている研究者なら知っていた。


国の財政破綻の危機と財政削減のため
 つくりだされた特別支援教育


これらのことは、すで聴覚障害児教育関係者はもちろん研究者の中では、1960年代から問題にされていた。

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